九州鉄道記念館戸畑分館(62)

神都線

三重交通「神都線」の方向幕

三重県伊勢市と戸畑区は天籟寺大山笠の2度に渡る伊勢神宮(正式には「神宮」)へのご奉納をきっかけにご縁の深い都市になりました。今日は、その伊勢市にかつて走っていた三重交通神都線の方向幕を御紹介します。神都線は明治36年に我が国7番目の市内電車として開業し、昭和36年まで走り続けました。神都線と名がついているだけに、その路線は山田駅(現在のJR伊勢市駅)から二見ケ浦・外宮・内宮へと導かれていました。古来お伊勢参りは、まず二見ケ浦で禊をし、身を清めてから、外宮、内宮の順に参拝するのが正式だとされています。まさにこの正式参拝に合わせるかように線路が敷かれていました。おそらく当時は善男善女でどの電車も満席だったことでしょう。前所有者の方の話によりますと、この幕は現存するものは2枚しか確認されていないとのことで、まさに幻の方向幕と言えるかもしれません。