口内炎と口腔癌について
タレントの堀ちえみさんが舌癌のステージ4と診断されたことを自身のブログで報告されました。口内炎と口腔癌について簡単にご説明いたします。口腔癌の初期は小さな口内炎に似た症状を呈する事が多いです(ただし、前癌病変(白板症や紅板症など)といって、広範囲の白色・紅色病変が癌化することもあります)。初期の状態で、口内炎と口腔癌を視診のみで見分けるのは極めて困難ですが、口内炎の軟膏を塗っても、内服薬を飲んでも1週間変化が全くない場合は(最大でも2週間)、この時点で大学病院などの高次医療機関への紹介が必須です。大学病院等では、病理組織の顕微鏡検査(病理組織診断)を行って、確定診断をつけて下さいます。ここで大切なのは、最初の病院でいただいた薬で変化があるか否かです。治癒傾向を示した場合はたいていの場合、口内炎です。癌の場合は口内炎の薬は全く効果がありません。口内炎には再発性のものがありますが、必ず一旦は治癒します。治癒した場合は心配いりません。また、市中の歯科医院を受診する場合は、歯科口腔外科の標榜がある病院をお奨めします。さらにその先生が実際に高次医療機関での勤務経験があるかをホームページで必ず確認して下さい。歯科口腔外科の標榜は自由標榜(勤務経験や専門医の資格は必要なく勝手に標榜できる)ですのでご注意下さい。口腔癌は開業歯科医が一生に1回遭遇するか否かの頻度と言われていますので、実際に口腔癌を見たこともない先生も大勢いらっしゃいます。口腔癌を見慣れた先生に診ていただくことが肝要かと思います。あくまで私見ですが、皆様のご参考になれば幸いです。院長と同世代の堀さんの御快癒を心からお祈りいたします。